インタビュー


「コーチングのどんなところに魅了された?」
コーチングを学び始めた当初は、相手に「問いかける」ことがコーチングの仕事だと思っていました。問いかけることでやる気や気づきを引き出していくものだと。この【問いかけて引き出す】という関わり方が、私が20代のときに、自分自身にずっとやっていたことでもありました。
例えば「どうして〇〇さんの言うことにだけ反応してしまうのか?」とか、「自分が本当にやりたいことは何だろう?」とか、「この習慣を変えるにはどうしたらいいんだろう?」とか、ひたすら自分の答えを見つけるということをやっていました。
「大変とは?」
さらに、聴いた話を頭で整理していく。声だけでなく動作や表情からも情報を拾いつつ、ペースを相手に合わせる。これら全部を同時にできるようになるのに時間がかかりました。あとは、心を開いてもらわないといけない。一度も会わずに電話だけでセッションが始まる人もいる。その人が心を開いて話をしてくれる場を作る技も、無意識でしたが身につけていったと思います。
「仕事以外でもそういうスタイルで話を聴いている?」
プライベートでは難しいです。相手の話にすごく集中しなければならないので。ただ、仕事以外でも、人と会うときに相手に心を開いて関わるようにはなりました。どんな人だろうと関心を持ったり、一対一で会話するときは、コーチングセッションの時ほどではなくても、聴くモードになることも多いです、癖がついたんですね。



「現在、企業に対してどのような研修をやっているのか?」
現在は講習内容が多岐にわたっていて、4月の新人研修からスタートして、管理職向け研修、コーチング、コミュニケーション、メンタルヘルス、ホスピタリティ、ビジネスマナーなど。セルフコーチングで目標達成や自分発見というジャンルもあります。
その中でもやはり、「傾聴力」や「関係性の構築」は、10年以上研修先で現場の声を聴いてきて、全ての仕事や関係性、指導のスタートとなる大事なスキルだと気がつきました。できるだけそれらも取り入れた内容の研修を作成しています。
企業だけでなく、大学や専門学校でも傾聴力を教えています。
「舞さんが研修や講座などでも伝えているという「聴き役会話」というものは?」
聴き役になって会話を作ってみましょうというものです。傾聴のスキルでもある「否定しない・批判しない」を意識しながら、最低2分間は話を聴いてみる。それを1日1回以上実行してもらい、傾聴の形を身につけてもらうものです。
例えば、「昨日何やっていたの?」と声をかけて、相手が「友達と飲み会でした」と答えたら、その飲み会ネタで2分間ひたすら相手の話を聴く。
ただ、黙って聴いていると「この話は面白くないのかな?」と相手は話してくれない。なので、相槌やうなづき、時には「すごいね!」「本当?知らなかった!」「楽しそう!」など賞賛や共感の言葉も取り入れてしっかり反応し、もちろん関心を持って問いかけもしながらの時間です。
2分間という時間にしたのは、聴くのは集中力が必要で大変だから。
でも2分くらいなら、皆さん楽しみながら聴くことができるし、実際やってみるとわかるのですが、2分でもかなりの相手の情報が入ってきます。好奇心旺盛な人なんだとか、こんなふうにストレス解消しているんだとか、今まで見えていなかった別の一面が見えてきて、そこで得た情報を次の会話や指導に活かすこともできます。
また、普段2分「も」話を聴いてもらえることって少ないんですよ。大抵はすぐに「俺はさ・・」「私はね・・」と相手に取られてしまう。ですので、2分でも聴いてくれる人がいたら、「なんていい人なんだろう」「この人は話しやすいな」「分かってくれる」とその相手に心が開いていく。聴き役会話を続けているだけで「実は・・」と相手から本音を話してくれるようにもなるんです。
相手が何かに悩んでいる時は別ですが、日常会話であれば1回2分でも充分に練習ができ、相手を知ることができ、関係づくりにもプラスになります。もちろん時間があれば、5分でも10分でも構いません。
まず、「聴き役会話」をマスターする。これを社員全員、または家族や友達との間でできるようになって、その上でのコーチングの傾聴力や質問力をさらに磨いていくと良いのではないか?と私は思っています。




40代になってから始めた海外バックパッカーひとり旅。ラクダに乗ったり民族衣装を着たり、好奇心の赴くまま楽しんでます(*^^*)

特に「信頼関係」「本音がわかる」「理解する」「適したアドバイス・サポート」「こちらの話も聴いてくれる」については、指導者や誰かをサポートする仕事、他者を動かす立場にいる人は絶対に必要なもの。
傾聴力を身につけると、なぜか「会話上手」という印象を持たれるのも面白いところですし(相手にとって楽しい会話を作ることができるので)聴くことで、本を読むのと同じ量の知識が入ってくる。しかも、他者の視点や思考、経験の追体験ができるので「人の心理」についても学べますし、そこから人や状況のことを「想像する力」も養われる。
さらに傾聴力を強化していくと、会話や行動を見ているだけで、相手の考えなどを推測できる「推測力」も身についていく。ここまでくると、人を動かすのがとても上手になるんです。「あ、このパターンの人にはこの言葉がぴったりだな」などわかるようになる。
これだけのメリットがあって、しかも、営業などお客様にも活かすことができる。徹底して傾聴する姿勢が信頼関係を構築し、本音を引き出し、細部にまでこだわった期待値を超えるサービスを提供できる。仕事のすべてにおいて通用できる。
また、傾聴力が身につくと、苦手な相手とのやり取りも楽しくなってくる。嫌なことを言われても、どんなタイミングで何を言ってくるのか予測できるようになるし、その場面において、さてこちらの出方をどうしようか?など、その状況を楽しめるようにもなってくる。お互いがもっと楽に、もっとプラスになる関わり方が傾聴であると私は思っています。

最終的に人が怖くなくなったら、自分が楽になるし、生きやすくなるので、まずは最初の一歩からチャレンジしてほしいなと思います。
「傾聴やコーチングに関する研修を体験した方の声は?」
「こちらが聴く姿勢になるとここまで話してくれるのか」という声も。聴き役会話でたった2分間、相手の話に耳を傾けただけで、普段は口数の少ない人でも色々話してくれたなど。その経験から、いかに自分が相手の話を聴いていなかったかを実感したという声もいただきます。
コーチングのスキル(コーチング研修)では、承認というスキルがあります。いわゆる「褒める」ことなのですが、お世辞ではなく、少しでも頑張っているところや相手の良いところを見つけて、声をかけて言葉で伝えるスキルです。コーチングは難しいから褒めることからまず始めたら、それだけで部下の表情が変わった、部下から話しかけてきたなどの声や、自分がいかに褒めたり、励ましたりしていなかったかことを痛感した話などをいただくことも多いです。
コーチングができるようになるには、練習が必要です、傾聴をマスターしつつ、さらに相手の力を引き出す関わり方や問いかけを学んでいく。習得には繰り返しの練習が必要ですが、傾聴やコーチングの関わり方が身について習慣化されれば、一生使うことができる。上司や親が傾聴やコーチングを習得すれば、その姿を部下や子どもたちが見て、それを真似ていく。企業や家族内で習慣化されたら、日本全体が変わるのではと、本気で思っています。
私の役目は研修でスキルを教えること、傾聴やコーチングがいかにメリットがあり具体的な効果があるかを示すこと、普段の関わりのどこを変える必要があるかを発見してもらうこと、そして傾聴やコーチングができるようになりたい、活用したいというやる気を生み出すことです。
でもスキルの習得と習慣化は個人の努力になる。そこは会社の理念にあわせて、仕組みそのものを変えていくといいケースもあるかもしれません。例えば朝、朝礼の終わりに2分間傾聴を全員で行う。会議の時は絶対に否定しないでどんな意見も受け止める、面談時に傾聴力を取り入れるなど。
ご相談があればいつでもお受けいたします(笑

メディア掲載

メディア紹介
各種メディアに紹介していただきました。